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がんや脳卒中と診断され辛い治療を経験した後でも,対象者が自分らしい生き生きと生活することを目標に支援する作業療法を追求しています。具体的には,「がん治療を受けた人が地域で不安なく生活するにはどうすれば良いか」,「脳卒中になった人が発症後早期から好きな作業を行うにはどうすれば良いか」という問いに対する研究にチャレンジしています。
研究業績は,県立広島大学「教員活動情報公開システム」あるいはresearchmapのホームページをご覧ください。
/site/kenkyu-shoukai/ikeuchi.html
https://researchmap.jp/k-ikeuchi
1)がん経験者のライフゴールの質を測定する新規評価法の開発
リハビリテーションに携わる医療従事者ががん経験者と良質な目標を立てるときに役立てる新規評価法を開発しています。医療従事者が自身の臨床実践をこの評価法と照らし合わせることで,自分の臨床実践に足りない要素に気づくことができます。この評価法を使用することで,医療従事者の支援の質が向上するだけでなく,がん経験者の生活の質の向上に繋がることが期待されています。
2)地域在住がん経験者に対する目標指向型教室の開発
「日記を書いて生活を振り返り,目標を立て,その目標の経過をみんなで話す」―。そんなコンセプトの教室を開発しました。この教室の効果として,辛いがん治療を経験した人々同士が作業療法士の支援を受けながら助け合うことが観察されています。写真は,この教室のときの様子です。参加者の方々が自宅で頑張って作った作品を教室時に持ってくるしてくださいました。
3)脳卒中を発症した人を担当する作業療法士が作業基盤の実践を学ぶ教育プログラムの開発
脳卒中を発症して間もない時期に対象者が好きな作業を行う作業療法。若手作業療法士がこれを学ぶ教育プログラムを開発しています。この教育プログラムでは「作業に関するアセスメント」,「脳卒中発症後に好きな作業を行うコツ」,「多職種連携」などの講義やグループ討論を行います。池内ゼミの学生もこの教育プログラムに参加し,オンラインの開催でしたが明日に繋がる活発な意見交換ができました。参加した若手作業療法士からは,「臨床で考えるべきポイントがわかった」,「定期的に開催して欲しい」,「もっと勉強しようと思った」との感想を頂きました。
年度 |
テーマ |
2021 |
緊急事態宣言中に帰省困難となった大学新入生が満足感を得た作業とその意味 |
2022 |
協働して決定した音楽を対象者が作業遂行中に聴く遠隔作業療法 |
2023 |
地域在住がん経験者に対する目標指向型教室の試行―ともに目標を立て,ともに振り返る 「がんの後遺症を忘れられる作業を見つける」作業レシピの考案―地域在住のがん高齢者の一例 |